著作権と原盤権
少し前の話になりますが、米国のSSWテイラー・スウィフト氏が所属レーベルともめて移籍した際に、レーベル側から過去の楽曲の演奏を許可しないと通告された件について。真相は両者の主張が異なるためよくわかりませんが、似たような話は国内のレーベル、とくにインディペンデントなレーベルとの契約でたまに聞くので、ここで一度整理してみたいと思います。
楽曲を書くとそこには著作権が発生します。これは作者の権利です。買い取りなど特殊な場合を除き、これが他者に移行することはありません。なので自分が書いた曲を演奏してはいけないと誰かから言われるというのはおかしな話です。ただしジャスラックのような著作権管理団体に曲の管理を依頼している場合は、使用料を支払う必要があります。しかしそれにしても、その楽曲の演奏が制限されるわけではありません。
一方、レーベルが持つ権利のひとつに原盤権という権利があります。簡単にいうとこれは読んで字の如く原盤、つまりマスター音源についての権利です。レーベルは制作および宣伝等に要した費用を、この原盤を複製し販売することにより回収しさらに収益を得ます。冒頭のテイラーの件で、元レーベルがこの原盤権を主張するのはわかりますが、そこに収録された楽曲の使用についてまで制限を主張するというのは、どう考えてもおかしな話です。
芸術家肌のアーティストは、どうしても法律のことには疎く、騙されたりいわれのない制限をかけられたりというのはよく聞く話です。もしレーベルとの契約書等の中に、自分の楽曲の使用についての権利を譲渡するような文言があるとしたら、その文言は削除してもらうかそもそもそことは契約しない方がいいと思います。
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